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2006年5月 1日 (月)

小説「博士の愛した数式」を読みました。

映画「博士の愛した数式」を見て、原作も良いと勧められ、小川洋子著の小説「博士の愛した数式」を図書館に貸し出し予約してましたが、やっと順番が来たので読んでみました。

日々のつましい生活の中でも、こんなに幸せは見つけられるのだなぁというのが感想です。

記憶が80分しかもたない「博士」に、家政婦の「私」とその息子「ルート」が暖かい心で接することや、数学、特に素数などの整数の関係や、その意味するところの美しさが、とても良く表現されています。それに、阪神タイガース時代の「江夏」のことや、タイガースのリーグ戦の様子は、野球に興味がない私でも、こういう楽しみ方があるのだなぁと感心しました。

特によかったのは、「離れ」の家の中で、博士と「私」とルートのなにげない生活が、素敵な出来事として活き活きと描かれている点です。例えば、料理や家事のひとつひとつが、ここまで美しく文章化できるのかと思うほど、きれいに表現されていました。

博士の純粋な「数」に対する愛情に触れ、家政婦の「私」が、あまり恵まれたとはいえない生活の中でも、数の魅力を頭の中で考えることで楽しくなり、心まで美しくなれるのだということを感じました。

ただ、ひとつだけ謎が残りました。それは、「私」と「ルート」は博士の友達であると「私」が言うのに、博士の義姉であり、家政婦の「私」の雇い主でもある未亡人が下心があるのではないかと邪推したのですが、その時、博士が「eのπi乗+1=0」のオイラーの公式を毅然とメモ用紙に書きました。その瞬間、なぜ未亡人が誤解をとき冷静になったのか、その理由は最後まで読んでもわかりませんでした。

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