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2006年2月16日 (木)

「単騎、千里を走る」に感動しました。

映画「単騎、千里を走る」を観てきました。父親と息子とが心を通わせていくことに感動しました。

高倉健さんは、おそらく「黙って背中で演技ができる」唯一の俳優だと思います。その健さんも、もう75歳なんですね。無口なまま、表情と身体で深い心理状態を表現できる、味のある俳優さんが少なっていくようで寂しいですね。
この映画では、珍しく無口な健さんが、ナレーションをしています。

男は、仮面(ユング心理学でいう「ペルソナ」)を被って生きて行かねばならないことが多いし、なかなか胸のうちをさらけだして本音で言えないことが多いのです。ドラマ「北の国から」の中で、田中邦衛さんが「男には「面子」つっうもんがある」という名セリフを言ってますが、男はなかなか本音を出せないものなのですね。(この映画でも「面子」という言葉が多く出てきます)。特に父親と息子との間では、ほんとうは本音で語り合いたいのに、どうしても一方的な説教になってしまいます。

この映画は、父が息子の気持ちを理解し心を通わせていくことがテーマでした。ペルソナを脱ぎ捨てて本音でコミュニケーションすることは心を通わせ、信頼関係を築く上で、いかに大切なことであるか、ということを、この映画は伝えようとしているのではないでしょうか。そして、その真の心の交流を目の前に見るとき、例えそれが他人のことであっても人は感動し涙が出るのだと感じました。

この映画では、仮面劇「単騎、千里を走る」の仮面をペルソナと捉え、劇の俳優リーが、仮面の裏側に隠された真実の心を、生き別れになったその子供を想って人目も憚らず泣き崩れることで表現し、その子供ヤン・ヤンは純真な心から、父に会いたくない複雑な心の内を叫んでいました。そして本音と本音の心の交流が、主人公の高田剛一(高倉健)や、廻りの全ての人々に感動を与え、心を揺り動かすのだといっているように感じました。

口下手で朴訥な男である主人公の高田剛一(高倉健)が、息子、健一(声、中井貴一)と、行き違いから心を通わせることができなくなり、病気で死を目前にした息子と、なんとか心を通わせたいと思い、健一が行けなくなった演劇形態の研究のための仮面劇を撮影しようと単身、中国に行く物語となっています。

そして仮面劇を撮影する困難さの過程、仮面劇の俳優リーが息子ヤン・ヤンのことを思う本音の心、父・高田が正に単騎、千里を走ってリーの子供ヤン・ヤンに会いに行く過程で、中国の人々の優しさ親切さに出会うこと、異国で言葉が通じないことの孤独感などを通じて、父・高田剛一は、息子の真の気持ちを理解していくのです。
そして息子、健一も、父の行動を奥さんから聞き、ついに死の直前にして心を開くのでした。

私にも二人の息子がいます。私もペルソナを脱ぎ捨て、心を開き息子達と人生の持つ意味について語り合いたいものだ、そう考えさせられる映画でした。

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2006年2月 8日 (水)

「博士の愛した数式」に感動しました。

昨日、映画「博士の愛した数式」を観てきました。とても心が洗われ感動しました。
記憶が80分しかもたない博士(寺尾聡)が何度も同じこと繰り返し質問するのに、いやがらずに気持ちよく何度でも答えてあげている家政婦の杏子(深津絵里)やその子供のルート(齋藤隆成)の優しさが伝わってきました。私は、認知症の母に同じような対応をしていますが、それともダブって、とても心が温かくなってきました。

背景の景色や自然がとても素敵でした。季節感があって、すがすがしくて心が洗われるようです。杏子が、毎日、自転車で通う道や、博士と杏子が桜の道を歩くシーンなど、とてもきれいで感激しました。観ていて「そうか、毎日、目に入っているのに見えていなかった自然の移り変わりを感じることが幸せなのだ」と気がつきました。春になったら私もあんな景色の中を、おいしい空気を胸いっぱい吸って歩いてみたいものだなぁと思います。

人間の幸せは、お金や物じゃないんだ、なにげない毎日の中で感じる人の優しさや、自然の美しさなのだなぁといまさらながら実感しました。私も、人生これで良いのかなんて悩んで不幸になってないで、命のありがたさを噛み締め、もっともっと日頃の生活でのなにげない時間を大切にして、身近な自然の移り変わりを楽しみながら、ありのままに生きていくことが幸せなのだと、思うように心がけます。

大人になったルート(吉岡秀隆)が先生になって教える数学は、とてもわかりやすく詩的で哲学的です。eのπi乗+1=0のオイラーの公式は、万物の存在は0(無)と同じであるという意味と直観しました。これは、般若心経の「空」の教えに通じるのではないかと感じました。命つき「無」にもどるまで、人生をあるがままに受け入れて生きていく智慧を示しているようにも思えました。

小川洋子さんの原作の本が読みたくなりました。

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